メモって置く・・・

| コメント(0) | トラックバック(0)
遊んでいる間に
購読している田中氏のメルマガは
こんな風に世界状況を面白く読み取っているので
転載させておきます。


ーーーーーーーーーーーーーー

★中国に世界を非米化させる
ーーーーーーーーーーーーーー

米国のトランプ前政権は、経済制裁によって世界経済を米欧側と中国側に2分割
する米中分離策などを通じて、米覇権体制を放棄して多極型の覇権体制に強制的
に転換させようとする「覇権放棄屋」「隠れ多極主義者」だった。共和党側有権
者のほとんどに支持される高い人気を誇り、再選確実と思われていたトランプに
対し、コロナ口実の郵送投票制などを悪用した選挙不正までやって、昨秋の米大
統領選をねじ曲げてトランプを排除して「勝利」した(疑いがある)バイデン現
政権は、トランプがやりかけた覇権放棄や隠れ多極主義を全力で元に戻すに違い
ない、と期待されていた。バイデンがどんな風に米国の覇権を蘇生させるのか、
お手並み拝見の感じだった。


(昨秋の米大統領選挙で民主党側が不正をしたことをマスコミ権威筋は「無根拠
な陰謀論」と言っているが、それは間違いだ。当時の状況から考えて不正が行わ
れた可能性があるのに、それが陰謀論と決めつけられることで、検証されずに放
置されている。検証が行われて「不正はなかった」と確定するまで、不正が行わ
れた疑いが残る。むしろ、マスコミ権威筋や民主党支持者たちは、不正の共謀者
・黙認者・歓迎者だから、不正疑惑の提示を陰謀論と決めつけて検証を妨害して
いる可能性が高い)


米国は911からの20年間、強制民主化・政権転覆・人権外交といった単独覇権
主義の愚策によって安保軍事面の覇権・国際信用がかなり低下している。経済面
でも、08年のリーマン危機とその後のQEの愚策によるバブルの超膨張により、
米国やドルは潜在的にかなり弱体化している。加えてトランプの4年間の覇権放
棄策によって、米国はさらに覇権を失った。米国が覇権を取り戻すには、これま
での単独覇権主義的な愚策をすべて破棄し、米国の覇権低下に反比例してかなり
力を持ってしまった中国やロシアとある程度和解し、中露などが米国の覇権再建
に協力してくれるよううながす必要があった。単独覇権の愚策の放棄は、同盟諸
国の信用を取り戻すためにも必要だった。米覇権復活を目指すジョージソロスの
シンクタンク「クインシー研究所」は、その方向を繰り返し提唱していた。ロシ
アは米国がどう出てくるか静観する姿勢だったが、中国はバイデンの米国との関
係改善を公式に希望していた。コロナの都市閉鎖も、米欧諸国の経済を自滅させ
る超愚策なので、やめていく必要があった。


だが、就任後のバイデン政権がやり始めたことは、中露への敵視を全力で再開す
る、愚策な単独覇権主義の振り回しだった。中国からの関係改善の提案に対し、
バイデン政権は「中国は以前から、米国と関係改善したいと言いつつ、国内での
人権侵害や貿易でのルール違反をやめる気がなく傲然と続けてきた。中国は信用
できない」「米国にとって中国は最大の脅威だ」と突っぱね、中国敵視をやめな
い姿勢を見せてきた。バイデンは就任式に台湾の実質的な駐米大使(簫美琴)を
米台国交断絶以来初めて招待し、のっけから中国を激怒させた。米国は、台湾、
香港、新疆ウイグル、チベットといった中国の内政における人権の諸問題、マイ
クロソフト(MS)のエクスチェンジのメールシステムに対して中国政府系のハ
ッカーが侵入してマルウェアを仕掛けたとされるハッキング疑惑(多分濡れ衣)、
米中貿易の不均衡といった諸問題について中国側が事態を改善しない限り、
米中関係を好転させないと言っている。


中国がこれらの諸問題について、米国を満足させる事態の「改善」を実現するこ
とは、不可能もしくは極度に困難だ。台湾は国共内戦の問題であり、中共は台湾
の独立を認められない。香港は英国との植民地問題で、香港民主化は英国が帝国
主義策の一つとして返還時に残置した悪だくみであり、中国が真に受けるべき問
題でない。中共がウイグル人のイスラム信仰を弾圧しているのは事実だが、ウイ
グル問題は米諜報界が育てたイスラム過激派がウイグル人を感化し、無神論に拘
泥する中共と戦わせている話でもある。ウイグル問題は、米国の世界支配策だっ
たテロ戦争の一つだ。チベット問題も、英国が帝国退却時に残置した悪だくみだ。
これらの中国の内政問題はいずれも人権問題でなく、米英が中国を弱めておくた
めに涵養してきた「国際政治謀略」だ。南シナ海や東シナ海(尖閣)の領海紛争
も、関係国間の話し合いでしか解決できない問題であり、中国が一方的に悪いの
ではない。


エクスチェンジのハッキングは、米諜報界とMSが明確な証拠を示さずに中国犯
人説を主張しているだけで、濡れ衣の可能性が高い。ハッキング事件のほとんど
は無関係な踏み台サーバーを経由しており犯人の特定できない。中国政府系のハ
ッカーはピンポイント攻撃で知られており、エクスチェンジのハッキングのよう
な広範な被害を公然と与える勢力でない。前回の記事で書いた、米国がロシアを
濡れ衣で犯人扱いしているソーラーウィンズハック事件と同様、エクスチェンジ
ハッキング事件は米国が中国を濡れ衣で犯人扱いしている。米中の貿易不均衡も、
中国だけが悪いのでなく、改善するなら米中双方の努力が必要だ。米中関係が
好転しないのは、米国が、これらの無茶な注文を中国に要求して、不合理に中国
を敵視しているからだ。米国だけでなく日本のマスコミも、これらの問題はすべ
て中国が悪いと報じているが、大間違いである。フェイクな陰謀論者は、マスコ
ミ(とその軽信者)の方である。


3月18日、米国アラスカで米中外相会談が行われた。これはもともと中国が米国
との関係改善を期待して開催を提案して実現したものだ。だが、この会談で米国
のブリンケン国務長官らは、中国に対して「台湾香港新疆チベットの人権問題を
改善せよ。政府系ハッカーの犯行をやめさせろ。貿易問題を解決しろ」と語気強
く要求した。中国は、不合理な要求であり失礼だと拒否し、双方が対立を確認し
ただけで終わった(温暖化対策の必要性、イラン核やアフガニスタンの問題解決
などについては合意できたという)。米国は、中国との外相会談の直前に、香港
の民主化を阻止する新法を制定したとの理由で24人の中国高官を制裁する新政策
を発表し、意図的に中国を失望・激怒させている。バイデンは中国との関係を悪
化させる戦略を突っ走っている。


このほか、バイデン政権は、トランプがやっていたファーウェイなど中国企業に
対する経済制裁を復活させている。トランプが作った中国企業のブラックリスト
をそのまま使っている。バイデンは、トランプがやった政策のすべてを愚策だか
らやめるぞという姿勢を見せつつ政権に就いたのに、就任してみるとトランプの
中国政策のほぼすべてを継承する事態になっている。バイデン政権は、中国がア
ジア諸国を経済的に支配しつつあることを批判する一方で、トランプが離脱した
TPPに再加盟することは否定している。米国がTPPに再加盟したら、日豪な
どアジア諸国を経済面で中国の支配下から米国の支配下に引き戻せる可能性があ
るのに、バイデンはそれをやりたがらない。口ばかりの無能な政権だ。


中国は年初からバイデン政権に対して「トランプ時代から続く不合理な中国敵視
をやめてくれたら、米国の善良な覇権運営に協力しますよ」と言い続けていた。
この提案で明言されていない下の句は「米国が不合理な中国敵視をやめない場合、
中国は、世界が悪しき米国覇権から被害を受けないよう、米国覇権の外に非米的
な国際秩序を形成し、非米的な世界秩序が拡大していくことで相対的に米国覇権
が縮小していくよう誘導します」という方針だ。バイデンが中国に対する不合理
な敵視をやめないので、中国は世界の非米化を進めて相対的な米国覇権の縮小を
加速させる動きを強めている。


中国が進める非米化策の一つは、ロシアとの結束の強化だ。以前はロシアの方が
米国から強く敵視され、ロシアが中国にすり寄って非米的な結束をやりたがって
おり、中国の方が非米的な中露結束に消極的だった。しかし今や中国もロシア並
みに(ときにロシア以上に)米国から敵視されて世界の非米化に積極的になって
おり、プーチンは念願の露中結束による非米化を進められるので大喜びしている。
ロシアは、中国に石油ガスを買ってもらえれば永久に経済的に困らない。軍事の
分野でも中露が結束すれば米国に負けない。宇宙開発でも、ロシアは米国との
協力を断ち切って中国と組むことに決め、露中で一緒に月面基地を作る計画を発
表した。最近は、米国側のシミュレーションでも、米軍が中国軍と戦争しても勝
てないとの結果が繰り返し出ている。


中国は最近、イランやシリア、北朝鮮、ベラルーシ、ベネズエラなど、米国から
一方的に不合理な経済制裁を受けている合計16か国で国連の場で新たなグループ
を結成し、国連憲章に違反する一方的な制裁を禁じる国連決議を16か国とパレス
チナ自治政府で提案した。米国と対米従属の先進諸国による、国連の決定を経ず
に発動されている経済制裁の多くは国連憲章違反であると16か国+1は主張してい
る。米欧諸国は「16か国+1は、米欧を批判する前に、まず自分たちの国での人権
侵害を改善しろ」と反撃している。だが、すでに述べたように、そもそも人権侵
害を理由に他の国を攻撃する人権外交の多くは、米欧とその傘下のマスコミ権威
筋による世界支配のための悪だくみである(人権重視を叫ぶ人々は軽信的な悪の
傀儡だ)。


これまで一方的に情報を歪曲され濡れ衣で悪者にされてきた16か国が初めて中国
主導で結束し、悪しき人権外交を使った米欧の世界支配をやめさせようとしてい
る。米欧では、マスコミ権威筋の信頼性が、コロナの愚策のプロパガンダなどに
よって失われつつある。今はまだ「米欧=正義。16か国=悪」の構図が先進諸国
で軽信されているが、それがこれからだんだん転換していく。バイデンが中国敵
視などという余計なことをしなければ、中国は世界を非米化しようとせず、こん
な悪事がバレていく流れも起こらなかった。バイデンの愚策が光っている。バイ
デン政権は実のところ、トランプとは別の道を突き進む隠れ多極主義である。バ
イデン自身は混濁して真相をわかっていないだろうから、側近陣が隠れ多極主義だ。


ロシアも、前回の記事に書いたように米欧から濡れ衣制裁を受けまくっているが、
ロシアは今回の16か国に入っていない。今後、中国など16か国と、米欧先進諸国
が人権外交の是非をめぐって国連などの場で激しく論争するようになり、米欧側
の旗色が悪くなったら、ロシアのプーチンが出てきて「そろそろ仲直りした方が
良いんじゃないですか」と仲裁するシナリオでないか。中露や非米諸国は、すで
にドルに代わる相互通貨やCIPSなどの貿易決済システムを持ち、石油など
エネルギーの取引も米国の監視外でやれるし、インフラ整備や産業発展の仕組み
も中国主導で作れるようになっている。イランは米欧から制裁されても中国に石
油ガスを大量販売できるのでへこまない。イランから中国へのタンカーが多すぎ
て、山東省の沖合で列をなして滞船している。米国の経済制裁はもう効かない。
政治的にもこれから正当性を失っていく。プーチンはこの動きを楽しんでいる。
面白い。不謹慎でけっこうだ。


米国は、トランプもバイデン政権も隠れ多極主義だ。国際的に覇権勢力の上の方
にいるダボス会議の世界経済フォーラムWEFも、米欧(企業、投資家、エスタ
ブ)による世界支配の永続化を狙っているように見えるが、実のところ、2月の
バーチャルなダボス会議の主導役を中国の習近平にやらせたりして(半面、米英
の首脳は不在で)世界を多極型に押しやっている。WEFは、コロナや温暖化人
為説の愚策とインチキの永続化をシナリオにした「大リセット」の立案者である
が、コロナや温暖化対策も米欧経済を自滅させる多極化策だ。世界の上の方は、
米覇権主義者のふりをした多極主義者たちにすっかり占領されている。上の方が
中国を敵視するほど、中国は台頭して世界を非米型に転換していき、米国の覇権
が衰退していく。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://48pro.net/mt/mt-tb.cgi/1061

Comments